〈コメント〉
【監督・野本梢】
プロデューサーの稲村久美子さんと共に石巻市を訪れた際目にしたのは驚くほどに整った街並みと背の高い防波堤でした。
被災地から離れた私たちが毎年この時期に津波の映像を見ながら当時を思い出している間に、現地の方たちは前に進むため、同じ悲劇を繰り返さないためにものすごいスピードで取り組んでいらっしゃいます。
そんな現状と共に、気持ちが追いつかない人々の葛藤を描けたらと思いました。
【プロデューサー・稲村久美子】
東北地方太平洋沖地震による災害から 11 年が経ちます。物資を詰め込んだ車両で家を出て、初めて石巻の地を踏んでから沢山の方に出会った 11 年でした。
震災をよく知らない世代もいる一方で、未だ「復興とは」と、悩み考え続けている方たちは決して少なくありません。そこにあるのは、人の「思い」で有り又他者に対しての「想い」であるのでは無いでしょうか。
映画をつくる時に、野本監督とやり取りしながらいつも気にしているのは、登場人物が今何を感じどうしたいのか?です。
フィクションではありますが、彼や彼女たちは、生身の人間であり悲しんだり、笑ったり、泣いたり、
迷い、時にはクヨクヨしながらも、私と同じく考え続けています。映画を観てくださった皆様に、作品を通してその思いが伝わればと願っております。